人々の賃金がほとんど上がらない景気回復だということだ。
この前例がない問題の原因について色々なことが言われている。
国際競争、IT産業の影響、学力低下などである。
しかし、もっとも中心となる問題は既存の産業の大部分は世界中どこでも過剰供給状態であるということだ。
そのため過剰な競争状態を引き起こし、市価の低下からコスト・ダウンにつながり、逃れようの無いプレッシャーを企業は受け続け、労働者の賃金は上がらないという悪循環となっている。
では、この過剰な供給を解消する解決はあるのだろうか?
その為の根本的な解決方法は、新産業をつくり新しい市場を拡張して行くほかないのだ。
現在の先進国抱える「新産業不足」問題について、驚くことに、多くの評論家や経済学者はほとんど指摘しない。
イノベーション 〔 技術革新 〕 を大事にしようというと語る人は多い。
13日の経済財政諮問会議では「イノベーションによる生産性向上」と言う話が中心だった。
しかし、私はそれよりも「イノベーションによる新産業の設立と新市場の開拓」がもっとも重要だと考える。
その会議の議事要旨によると、福井日銀総裁は民間議員の「イノベーションによる生産性向上」などの七つの「改革課題」の提案について「短期的に高い成長を実現するわけではない」、「所得差はさらに広がる・・・差は縮まるという幻想を容易に与えない方がいい」などと語った。
つまり他の言い方をすれば、イノベーションによる生産性向上をするだけでは、失業率が増えるということを暗に示唆している。
この意見には私も同意だ。
これに対して、新産業の設立と市場の拡大は問題を解決できるはずである。
しかしこの委員会のメンバーだけではこれからどの新産業が大規模に成長するかまではわからないだろう。
IT、観光、環境、福祉、医学、バイオなどは今後成長する産業と一般に言われている分野はあるが、世界中の先進国の失業率を改善し、賃金の値上げを実現させていく為にまだまだこれだけでは足りないだろう。
従って、今は政府が関心を示していない、宇宙旅行事業を実現し、新たに大きな宇宙市場を開くというアイディアを日本政府も検討し、積極的に取り組んでいくことが必要だ。
いつまでも宇宙は単なる学問と夢物語の場所のままではいけないのだ。
今現実に抱えている私達の給料をアップさせる為にも、より大きな新産業を育てていく努力を政府は行い、宇宙市場の巨大な可能性に一刻も早く投資を始めるべきである。