2006年10月23日

新産業の発展の無い企業の効率化は経済崩壊を招く

10月13日に安倍政権の初の「経済財政諮問会議」が行われました。
その会議の中で、経済成長を高めるために、民間議員は七つの「改革課題」が提案されました。
「イノベーションによる生産性の向上」や「労働ビッグバン」すなわち労働市場の効率化や世界に向けたオープンな経済の構築や
政府が民間経済の足かせにならない方法(すなわち法人税の減税など)等などです。

企業は利益を得ることが中心の考えなので、民間議員の提案は企業の既得権益の声として、企業の利潤を増やすための提案だろう。
他の言葉で言えば、日本企業が世界との競争、特に人件費の安い国との競争に対して負けないための提案だ。

条件が同じならば、生産性の向上はいい目的だが、生産性が向上するにしたがって、必要な労働者が減るのは当然のことである。
だから企業の生産性が向上するにつれて、人々の雇用のチャンスが増えるような新産業も発展していかなければ、失業率は増えることになる。
これは効率化、高生産性化を進めて、賃金の安い中国などに日本が対抗していくときの大きな問題である。
技術向上に従って仕事が減るという状況は過去何度も繰り返されてきたといってもいい。

日本社会にとって、失業率が高くなっていくことは大変な問題なので民主主義的な政府の観点は、単に効率化をすすめる企業とは違う。
従って、この「7課題を具体化していく道筋は不透明だ」と言われた。
マクロ経済学という分野の基礎的な考えでは、ある企業が人件費を減らすと利潤が増えるが全ての企業が人件費を減らすと経済の中の総需要を減らして、企業は損益となる。
従って、企業の生産性が上昇すると同時に新産業の設立と成長はなくてはならないことである。
世界中の失業率が高い現状は、上記の企業の提案を全部導入することになると、企業の利潤は増えても、日本人の失業率は増えることになる。
20世紀の終わりには機械化が進んだが、それにつれて、コンピュータやIT産業などの新たな産業が生まれ、雇用のチャンスとのバランスをかろうじて保ってきたが、それでも失業率は増え続けた。

何か大きな重要な発明がなされても、これが大規模なビジネスになるまでには数十年かかるといわれる。
だからこそ、なるべく既に開発されてる技術を発展させることが早期ビジネス化には望ましい。
しかしこういう可能性をもった分野は少ない。
私はこの可能性の一つのが「宇宙産業」でありその最大のチャンスが「宇宙旅行産業」であると考えている。
残念だが、日本政府は「失われた10年」中「宇宙旅行拒否政策」と呼べる政策を実行して来た。
すなわち、日本は有人宇宙機開発やこれにつながる宇宙旅行事業を行わないという政策だ。
そのため、これまで赤字の宇宙活動に対して2兆円を使ったのに宇宙旅行を実現する予算はほぼゼロである。
これはとてももったいないことだ。

最近ヨーロッパはロシアとアメリカに合わせて、宇宙旅行産業の発展を支持しようとする政策に変更がなされた。
日本政府はこれに対して、研究を行うような政策にはなっていないがこれからに期待したい。
安倍政権が日本政府の十年間の「宇宙旅行産業は要らない」という誤った政策は続け、大手企業の生産性の向上のためだけの政策に注力し、新たな産業を生み出す努力を怠れば、日本の失業率はどんどん増えていくことだろう。
そうなれば、マクロ経済的には最終的に企業の不利益につながり、経済は崩壊する。
posted by Patric Collins at 19:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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